世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?/山口周

 

 

 アートに関する教養がグローバルビジネスにおいてコミュニケーションの役に立つ!?みたいな内容かと思ってこの本を手に取ったのですが、これからのビジネスにおいては「アート」が主要な地位を占めることになるかも…という意外な展開の本だったりします。

 というのも昨今のビジネスにおいては、あまりに様々な事象の進化が早すぎて、かつ情報も多すぎてロジカルな判断を突き詰めることが難しくなっており、情報や判断材料が不足していると思われている中で判断を下す基準として「美意識」が重要になってくるということです。

 また従来のビジネス上の判断においては、そのアカウンタビリティの要請から「サイエンス」と「クラフト」に依拠することが多かったのですが、進化のあまりの早さなどから、ロジックに頼れば頼るほど、コンプライアンス的な判断の誤りを犯してしまう傾向が強まったことから、「美意識」に基づく判断が重視されるようになってきたということです。

 そういった「アート」がビジネスにおいて成功を収めた好例として、アップルにおけるスティーブ・ジョブズの存在が挙げられているのですが、確かにあれはジョブズの感性こそが成功の源泉であったのは間違いなさそうで、ちょっと馴染のないトピックですが、かなりナットクさせられる内容です。