最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門/溝口徹

 

最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門 (光文社新書)

最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門 (光文社新書)

  • 作者:溝口 徹
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2018/03/15
  • メディア: 新書
 

 

 「オーソモレキュラー」というのはほとんどの方が耳慣れないコトバだと思うのですが、「目的とする栄養素である分子(molecule)を、必要十分な量補給することで、組
成を整える(ortho-)」という考え方から来た治療法だということで、その概要を紹介した本です。

 著者の溝口さんは、元々ペインコントロールを専門とされていて、奥さまとご自身が日本でのオーソモレキュラー療法の草分け的存在の金子雅俊氏の治療を受けて感銘を受
け、ご自身が診られている患者さんで、治療の効果が出ない人に適用したところ目覚ましい効果が出たということで、本格的に取組まれたということです。

 基本的な考え方としては、

 ・病患や症状を改善させたり、アンチエイジングや理想
  的な健康状態を目指すためには、十分なカロリーが必
  要である。
 ・重要な栄養素はタンパク質で、その必要量は、従来考
  えられていたよりも多い。
 ・脂質は、脂肪酸の特徴を理解し、応用する。
 ・ビタミンとミネラルは、必要十分量を満たす。
 ・糖質は、血糖値の変動と、インスリン分泌のコントロ
  ールを重視する。

ということで、カロリーと脂質の十分な摂取ということと、糖質のコントロールの必要性を重視するというところが糖質制限の考え方と通じる部分があります。

 この考え方で溝口さんは、元々専門であった慢性の痛みの緩和だけでなく、うつの症状軽減、さらにはがんの治療・予防にもつながったということです。

 以前紹介した藤川徳美さんの『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』でも紹介されていましたが、栄養学の考え方を治療に積極的に取り入れることで様々な疾患を克
服できる可能性が広がってきているということで、まだまだ端緒にあるようですが、今後の進化と普及を期待したいところです。