じつは怖い外食/南清貴

 

 

 以前、河岸宏和さんの諸作を立て続けに紹介して、食の安全について考える時期がありましたが、久々にそういったテーマの本を手に取ってみました。

 河岸さんの本でも偽装や、アヤシゲな材料を使っていることを知りましたが、この本はそれよりも遥かに恐ろしい内容です。

 南さんは真っ当な食材を使った飲食店を経営しようとされていたそうなのですが、全く害のないモノを提供しようとすると食材にコストがかかり過ぎてしまい、とても気軽に食べることができる価格にすることが難しかったということです。

 そういった取組をされていた南さんが、ご自身のネットワークから得た外食の材料に関する内容なのですが、ハッキリ言って、余程値の張るところでなければ、まさに毒を食べ続けているに等しいようです。

 例えば、アメリカでは厳しく使用が禁止されているトランス酸脂肪なんですが、日本の外食産業ではマーガリンやケーキのクリームなど使い放題なんだそうです。

 また揚げ物を出す店で、1週間油を変えないなど、正直産地の偽装なんてカワイく思えてくるほどヒドイ実情を紹介されています。

 まあ、そういう良心を無くした提供者側の問題もあるのは間違いないのですが、もう一度「適正価格」ということについてよく考えた方がいいのではないかとも思います。