がん患者やその家族の心のケアをする「がん哲学外来」を創設された方が、カウンセリングのご経験をもとに、がん患者自身、その家族や友人たちの悩みの応えるといったカタチの本です。
ワタクシ自身、超初期の十二指腸がんに罹患して、手術で除去したのですが、個人的にはがんかどうかもわかないくらいのレベルだったのでかなり楽観的だったのですが、後で聞くと家族は結構ショックを受けたらしく、この程度でそんなことなんだったら、ある程度進んだがんに罹った人の家族は相当なケアが必要なんだろうな、と感じます。
やはり本人にとっても家族にとっても、がんを受け入れることはかなり困難なようで、死への恐れはモチロン、社会から取り残されてしまうんじゃないかという不安、家族を残して(残されて)しまうことの不安など、数え切れないほどの葛藤を抱えてしまうことになります。
そんな中で樋野先生がおっしゃるのは、がんは自分と向き合うチャンスでもあり、向き合って自分にしかない役割を見出すことができるのではないかとおっしゃいます。
また家族や友人としては、がん患者に対して特別なことをしようとするのではなく、普通通りに「寄り添う」姿勢を見せてあげることが患者にとっての何よりの励みになることが多いようです。
やっぱり病気って、治療そのものもそうなのですが、心のケアも同じくらい重要なんだということを顧みさせる本でした。