がんになる性格、ならない性格/本田宏、重久剛

 

がんになる性格、ならない性格 (廣済堂健康人新書)

がんになる性格、ならない性格 (廣済堂健康人新書)

 

 

 タイトルだけ見ると患者の個性ががんになりやすいかどうかを扱った本に見えますが、確かにそういったことにも言及されていて、性格診断テストなんかも収録されてはいるのですが、この本が有意義なのは患者の性格をがんの治療に役立てようとしていることかも知れません。

 日本の医師というのは「病気を診るだけで、患者を診ない」と揶揄されるように、病気の治療ばかりにフォーカスする傾向が強いということなのですが、やはり病気の治癒と言うのは患者の体調だけではなく、ココロの持ちようによって大きく左右されると言うこともあって、如何に医師と患者が信頼関係を築いて、共に手を携えて治癒を目指すことを提唱されています。

 昨今では患者本人にがんを告知することが一般的となっていますが、そうすることで落ち込む人がいれば、治癒に向けて闘志が湧く人もいるということで、そういった患者のキャラによって告知すべき人とそうじゃない人もいるということです。

 告知だけではなく、治療そのものについてもそういった患者のキャラに合わせた「病気じゃなくて、患者を診る」ということががんの治療においてこそ重視されるべきなんじゃないかということを提唱されます。

 まあ、そういった取組の成果の統計的な成果がない以上、治癒に向けた効果は何とも言えない部分はあるのですが、少なくともQoLの向上にはつながるんじゃないかと言えそうで、そういった方向性が広がって行けばいいのにな、と思います。