以前ワタクシが勤務していた会社を立ち上げられた方だというこ 以前ワタクシが勤務していた会社を立ち上げられた方だということで勝手に多少の親近感を感じてはいるのですが、どっちにしろ雲の上の人であることには変わりありません。
ターゲットは新たに東大生になった人なはずなんで、ワタクシ自身東大卒でも何でもなければ、ムスメ達が東大へ行く可能性も限りなくゼロに近いワタクシがこんな本を手に取ってもあんまり意味は無いような気もしたのですが…
田坂さんが書かれる本は観念的なモノもあれば、実用的なモノもあるのですが、この両者にまたがって良質な著書を書かれている著者の方と言えば、田坂さん以外には京セラの稲森会長くらいしか思い当たりませんが、この本はその両者のバランスが絶妙で、今後のAI時代を生き抜くにあたっての考え方を紹介されており、東大生ではなくても、かなり有用な内容となっています。
東大生ともなると本人の好むと好まざるにかかわらずエリートとしてしまうワケですが、学校に入るまではデキる人であっても、社会人になった途端になるで“使えない”人になってしまうことも少なからずありますが、それについて坂田さんは社会人として求められる資質について、
・基礎的能力
・学歴的能力
・職業的能力
・対人的能力
・組織的能力
の5つがあるとされていて、東大生でありながら“使えない”人になってしまうのは前の2つの能力は突出しているモノの、残りの3つの能力に欠けていることから生じる現象だということです。
さらにAI時代になると、東大生を代表とする学校での成績がいい人たちが得意とする、
・知識習得力
・論理的思考力
がAIの最も得意とするところであり、そういった人たちが真っ先に淘汰されかねないと指摘されています。
そんな中で学生のうちにAIでは代替できない、
・クリエイティビティ
・ホスピタリティ
・マネジメント
を磨くことの重要性を説かれていて、そのための具体的な取り組みを紹介されています。
この本はタイトルにはAIを前面には出されていないのですが、やたらと危機感をあおるワケでも、バラ色の未来を語るワケでもなく、AIの性質から鑑みた今後の我々の在り方を冷静に分析されており、今まで読んだ中でも出色の“AI本”とも言える側面もあり、ワタクシを含めた東大に何の縁も無い読者にも得るところの多い本ですので、安心して手に取ってみてください!(笑)