独裁の宴/手嶋龍一、佐藤優

 

独裁の宴 - 世界の歪みを読み解く (中公新書ラクレ)

独裁の宴 - 世界の歪みを読み解く (中公新書ラクレ)

 

 

 先日お二方の対談本である『米中衝突』を紹介しましたが、それ以前にもお二方の対談本があるということで手に取ってみました。

 『米中衝突』では、この本の答え合わせ的なこともあって、その後実現する米朝首脳会談の実現を予測されています。

 世界を取り巻く大きな潮流として「独裁化」の進展を指摘されているのが印象的なのですが、そう言われてみればアメリカでも中国でもロシアでも最高権力者への権力の集中が顕著だなあと改めて感じさせられますが、日本も「安倍一強」に見られるように決して例外ではないということに言及されています。

 その原因として、世界情勢が複雑化していく中で迅速な意思決定が求められる場面が急激に増えているからだということで、民族主義の限界が見られるようになってきているということです。

 また佐藤さんの本にしては珍しく日本の政治情勢についての章があり、選挙で大勝して盤石に見える「安倍一強」政権ですが、かなり脆弱な基盤の上に成り立っているとおっしゃっておられ、「安倍後」の流動的な状況を危惧されています。

 トピックもさることながら、非常に印象的だったのが手嶋さんがかなり佐藤さんをイジッていることで、「知の怪人」佐藤優にこんなツッコミをできるのは手嶋さんくらいなのかな、ということで、他の佐藤さんの著書とは別の楽しみ方ができました!(笑)