世界が感動する日本の「当たり前」/マンリオ・カデロ

 

 

 長らくサンマリノ共和国の日本大使を務められ、駐日日本大使の代表でもある駐日外交団長も務められた方による“日本礼賛”です。

 

 これまでも、マレーシアのマハティール元首相による『立ち上がれ日本人』や台湾の李登輝元総統など海外の要人による“日本礼賛”論が数多く紹介されてきましたが、ここまでの“日本礼賛”は珍しいかも知れません。

 

 最近では“嫌韓”や“反中”の裏返しとして日本人としての誇りを取り戻そうと提唱されるような内容の本も増えてきていますが、少し前までは戦中の軍国主義の過度な反省からか、自虐史観的な見方が多かったこともあって、却ってトルコやポーランドなどの中堅国からの“日本礼賛”論が多かったような気がします。

 

 この本は、トルコやポーランドなど、自国民が何らかの恩恵に預かったとか、自国に敵対する国家の的といった外交的な面からの観点ではなくて、ご自身が日本に駐在されてきた経験から、主に文化的・精神的なところに感銘を受けられたことで、日本に傾倒されたようです。

 正直読んでいて、あまりの礼賛振りに面はゆくなって、「それは買いかぶり過ぎですよ!?」と言いたくなるところも無きにしも非ずなのですが、敬虔なカトリック国であるサンマリノから来られたにも関わらず、日本の神道由来とも言える文化を称賛されています。

 

 神道由来の清廉な精神性が日本食や日本のおもてなしなどあらゆる側面に表れていて、世界中からの尊敬を集めるに値するとおっしゃっています。

 

 ただ日本人の謙虚さがそういった高い精神性を知らしめることの障害になっている側面も指摘されていて、もっともっと積極的にそういったところをアピールして日本を訪れる観光客を呼び込むべきだということで、デービッド・アトキンソンさんの『新・観光立国論』にも言及されています。

 

 現在はコロナ禍の真っ只中でインバウンドどころではない状況ですが、この本で紹介されているような清廉性を保っていけるようガンバらないと…ですね!?