昨日一昨日に引き続き海老沢さんの著書なのですが、過去2日とは異なり、題材がスポーツとは異なります。
この本を出版された頃、スポーツノンフィクションの印象が強かったようで、この本のテーマである辻調理師専門学校の校長である辻静雄さんの伝記というところで物議があったようで、当時反論めいた内容の寄稿を新聞にされたことが開設の中で紹介されています。
昨日紹介した『監督』では、実在の人物について、著名人と架空の人物とを交わらせるパラレルワールドで、リアリティとストーリー性を両立させる手法を取られていますが、この本でも実在の辻静雄さんとごく近い周辺の人はフィクションとして、実際に親交のあったポール・ボキューズなどの著名な料理人は実名で登場させるという手法を取られています。
ワタクシ自身、関西の出身なんで辻調理師専門学校はモチロン知ってはいたのですが、単に料理を教えている学校としか思っていませんでしたし、本格的なフランス料理を日本に初めて紹介したのが辻さんだというのは知りませんでしたが、それ以前は要職に毛の生えたようなモノしかなかったフランス料理を、ポール・ボキューズを始めとするトップレベルの料理が提供できるようにまでなったのは辻さんの貢献されるところが大きかったということです。
先述の新聞に寄稿したものの中に、広岡監督にしろF1のホンダチームにせよ、自分が心底惹かれた世界だからこそ、作品の題材とするのであり、それだけ辻静雄さんに魅かれたということなんでしょうけど、ワタクシ自身食べることが好きだということを割り引いても500ページ弱の大著を一気に読ませる魅力がありました。
それにしても、この本の食べるものの描写がたまらないんですが、この本に出てくるようなメニューはそうそう食べれる機会があるモンでないのが困ったところです…(笑)