ポップコーンをほおばって/田家秀樹

 

 

 コロナ禍で在宅勤務になってから、周りに人がいなくて寂しいのもあるので音楽を流しながら仕事をしているのですが、コロナ籠りになってからずっと昔に聴いていた音楽シリーズでオフコースだったり甲斐バンドだったりをアルバム全部を通して聴いていたりして、そんな関係で先日オフコースの解散を追った『Give up』をこのブログでも紹介したのですが、ついでにではないですが甲斐バンド関連の本も思い出したように読んでみました。

 

 高校の時の先輩が甲斐バンドの熱烈なファンで、いろいろとテープをくれたりもしていたのですが、その頃はそんなにハマらなくて、1986年に一旦解散するのですが、その直前辺りから俄然ハマってしまって、解散直前で最後のツアーのチケットはとてつもない倍率で、結局ナマの甲斐バンドは一度も体験することはなかったのですが、解散後も結構長らく聴いておりました。

 

 そんな甲斐バンドの結成以前から一度目の解散をするまでを追った本なのですが、オフコースが時代背景とかをあまり感じさせないのに対して、甲斐バンドは1970年代の空気を色濃くまとっているような気がします。

 

 甲斐バンドのデビュー前後は、まだ「日本語でロックができるのか!?」なんて議論が真剣に行われていたりとか、音楽でおカネを稼ぐことを”不純”と見る向きがあったりだとか、今考えるとちょっと想像がつかないところですが、そういった状況から甲斐バンドが日本有数のロックバンドとなっていく過程を通して、音楽が巨大な産業となっていく過程をもうかがい知ることができます。

 

 この後、何度も再結成を繰り返し、結成からの同志であるギタリストの大森さんが亡くなった後までも甲斐バンドを名乗り続けて、個人的にはちょっと複雑な想いもありますが、今回聴き返してみて、やはり懐かしさ以上の何かを感じます。

 

 機会があれば、是非聴いてみてください。