官僚に学ぶ仕事術/久保田崇

 

 

 この本を書かれた当時内閣府勤務の官僚であり、震災直後の陸前高田市の副市長を経て、現在は出身地である掛川市で副市長を務められている方が紹介する”仕事術”です。

 

 霞が関の官僚といえば、国会開会中などは徹夜も当たり前といわれる激務で知られますが、この本の著者である久保田さんは、早くから様々な仕事術を意識的に取り入れられており、また英国に留学していた経験もあり、ステレオタイプ的な霞が関の官僚のイメージとは異なりワークライフバランスを重視されていて、繁忙期でなければ18時には退庁することを励行されていたということで、如何に大量の業務をこなすかということについてのノウハウを紹介されています。

 

 ただ、官僚だからといって特別なノウハウを駆使されているかというと、そういうワケではなく、ToDoの管理や優先順位付けなどかなりプレーンなノウハウなのですが、かなり突き詰めて取り組まれていたように見受けられます。

 

 ただやはり国会開会中は、どんなに忙しくても国会議員の質疑対応があれば何にも優先して、かなりタイトな締め切りで対応することを強いられることから、優先順位付けや作業の効率化も研ぎ澄まされていったんだと思われます。

 

 特に印象的だったのがコミュニケーションが作業の効率向上に役立つという指摘で、普段から周囲と良好な関係を築いておくことで、突発的な飛び込み案件もある程度予測できたりとか、業務に必要な情報入手もスムーズになるなどのメリットを強調されています。

 

 また内閣府在勤中はニート対策などに取組まれていたということで、”やりがい”や”人生の充実”ということを繰り返し強調されており、超多忙な官僚としての生活の中でも積極的に外部の方との交流を取られたりという取組を紹介されていて、仕事だけに忙殺されない生き方の意義を強調されています。

 

 霞が関の官僚というと、最近は”忖度”などダークなイメージばかりが広がっていますが、こういう有能で意欲のある官僚の方々が思う存分能力を発揮できるような環境にならないモノでしょうか…