お金の流れで読む日本と世界の未来/ジム・ロジャース

 

 

 冒険投資家として知られるジム・ロジャースさんの近作です。

 

 以前、日本にまつわる今後の投資環境についての『日本への警告』を紹介しましたが、大きな論点としてはあまり変わりません。

 

 これまでの著書で再三おっしゃってきたように、投資対象を自分の目で見るということに加えて、この本では「歴史に学ぶ」ということを併せて強調されています。

 

 「歴史に学ぶ」というのは、歴史と言うのは繰り返し同じようなことが、少しだけディテールを変えながら何度も何度も起こっているということで、ロジャースさんはそういった歴史の繰り返しをベースにして大きな流れを予測してきたということで、実際に大恐慌の再来としてのリーマンショック、かつて世界大国として君臨してきた中国が世界に冠たる国家として復活しつつあること、ナチズムの再来としてポピュリズム蔓延の一環としてのトランプ当選などを的中させてこられたということです。

 

 そんな”予測”の一環として、一刻も早く日本を投資対象から外して、手持ちの日本絡みの資産をすべて売り払ったことを前著でも紹介されていましたが、その理由として、著しい人口減少を経験した国家や、大幅な赤字となった政府がその後反映したという”歴史”がないことから、そういった判断をされたと紹介されています。

 

 ただ、その中で一つだけ理解できないのが、前著でも強調されていた”統一コリア”の台頭なのですが、昨年2月のベトナムでの米朝首脳会談までは、ひょっとして…という可能性もありましたが、非核化を放棄し、韓国・文在寅からのラブコールを手酷く拒絶した北朝鮮が、どのようなカタチで統一すると考えておられるのかが不思議なところで、かつ、この件についてはあまり明確に、再来としての先例を提示されていないところも気になります。

 

 確かに、ロジャースさんがおっしゃるように、すべてが理想的なカタチで統一が実現すれば、かなり経済的に反映する国家の成立が見込めるでしょうが、その前提が非常に想定しにくい気がするんですが…