”社風”の正体/植村修一

 

“社風"の正体 日経プレミアシリーズ

“社風"の正体 日経プレミアシリーズ

  • 作者:植村 修一
  • 発売日: 2018/05/11
  • メディア: 新書
 

 

 1995年に第一弾が出版されて以降、特別篇も含めると5冊ものシリーズとなった『ビジョナリー・カンバニー』以降、優良企業におけるあらゆる要素が成功要因の研究の素材となったワケですが、そんな中で「企業文化」や「社風」といった、言語化しにくい要素についてもかなり研究が進んだようですが、この本は「企業文化」「社風」といった企業を取り巻く”空気”のようなモノが如何に業績に影響するかについて紹介された本です。

 

 ”企業文化”や”社風”なんていうと構えてしまいかねないですが、まあ、言ってみればその会社の思考のクセと言うんでしょうか、そういうちょっとした考え方の方向性の違いが意外と独特だったりして、小さくない違いを生み出しかねないということです。

 

 そういう”社風”が業種だったり、地域だったり、同族企業や中小企業、大企業と言う企業を取り巻く環境だったりに影響されるところについて実例を踏まえて紹介されているのですが、そういう様々な要素が複雑に組み合わさって特有の”企業文化”や”社風”が形成されるワケですが、そういう特殊な形成に至る要素を纏うことが、模倣困難なビジネスモデルにつながったりして、差別要因になったりすることがあるようで、この本では、そういった特有の要素が成功に結び付く特定の要因を解き解すまでは扱ってはおられないのですが、そういう蓋然性があるということで、”企業文化”や”社風”の役割の大きさを指摘されています。

 

 ただ、”企業文化”や”社風”はプラスに作用するばかりではなく、不正を生み出しやすい土壌を形成されることもあるということで、そういう場合は当事者が不正をしていることについて無自覚であることが多く、キチンとチェック機能を作用させるよう配慮することの重要性を指摘されています。

 

 また、今後AIが企業のオペレーションの大部分を担うことが想定される今後の企業において、”企業文化”や”社風”がどんな役割を果たすのかについても言及されていますが、企業のビジョンを発案するのが人である限り、どうしてもそういう”空気”感というのは続いていくんだろうな、という気がします。

 

 コロナ禍で企業のあり方の再考が、否が応でも突きつけられる昨今ではありますが、

これを機会に”企業文化”や”社風”を見直して、ブレイクスルーを考えてみるのもいかがでしょうか!?