決断できない日本/ケビン・メア

 

決断できない日本 (文春新書)

決断できない日本 (文春新書)

 

 

 タイトルだけ見ると”日本あるある”っぽい本なのかな!?と思ってしまったのですが、この本を書かれたのはアメリカの元国務省勤務で、キャリアの大半を日本との外交に捧げてこられた方で、このタイトルはカウンターとしてともに仕事をしてきた日本の官僚に対するイラだちなのかもしれません!?(笑)

 

 著者のメアさんは、日米外交のかなりキーパーソンだったようで、普天間基地返還関連の交渉でも矢面に立ったところがあって、それがゆえに日本の通信社の記者に、本人曰くハメられて、虚偽の発言をデッチ上げられたことを契機に国務省を去られるのですが、その問題が発生した直後に東日本大震災が起こって、一旦辞職を保留して米軍の支援プロジェクトである「トモダチ作戦」の中枢を担われるのですが、そんな中でロクに情報を出せない日本政府へのイラだちがあったことを告白されているのですが、その時には日本政府が意図的に情報を隠しているんじゃないかと思って、本国では日米同盟の危機だと捉える向きもあるなど、緊迫した状況を紹介されています。

 

 普天間基地返還交渉については、ワケの分からない鳩山元首相が県外移転をブチ上げて混乱させたのに対してかなりハードな態度で交渉に取組まれたこともあって、沖縄の方にとってはメアさんは、かなりの敵役だったようで、結果として沖縄の方への侮蔑的な発言がデッチ上げられて、その任を去ることになります。

 

 この本で取り上げられているトピックが民主党政権での内容が多くなっているので、タイミング悪!!と思われるかも知れませんが、メアさんは20年近くにも渡り、かなり中枢の立場で日米外交に関わってきたこともあって、日米外交のキモの部分についても言及されているのですが、メアさん自身としては、日米同盟と言うのは少なくともアジアにおいてはアメリカにおける外交政策のキモであり、日本政府はニクソンショックのトラウマがあるからか、ちょっと米中が接近するとヤキモキしているように見えるけど、そもそも中国に米軍を駐留させることはあり得ないし!!とおっしゃって、如何に日本を重視しているかということを強調されています。(まあ、日本外交担当者の言うことなんですけどね!?)

 

 これが、どれくらいトランプにぶっ壊されたのかということは気にならなくはないのですが、米中の軋轢の中、こういうところはアタマに入れておいてもいいのかも知れません。