プロ野球「名采配」読本/手束仁

 

プロ野球「名采配」読本 (知的発見! BOOKS)

プロ野球「名采配」読本 (知的発見! BOOKS)

  • 作者:手束仁
  • 発売日: 2017/06/17
  • メディア: 単行本
 

 

 プロ野球の名勝負(含む迷勝負・珍勝負)を采配の観点から語られた本です。

 

 古くは1960年代からこの本が出版された2017年までの「名勝負」を、割と2000年以降のモノを中心に紹介されているのですが、それぞれの「名勝負」が2、3ページ+α

位のボリュームで紹介されているので、あんまりその試合について詳細に書かれているワケではないですし、勝負のアヤみたいなモノの種明かしがあるワケでもないので、どっちかと言うと、かなりプロ野球に通じたファンが、この本の記述を手掛かりに、題材とされている試合に思いを巡らすといった感じの本なのかも知れません。

 

 ワタクシ自身、ここ数十年はどっちかと言うとサッカーの方をメインに観戦しているので、必ずしも多くの試合が思い当たるモノではないものの、いくつか思いを巡らすことのできる試合が取り上げられています。

 

 当時の長嶋監督が「国民的行事」とブチ上げて、最終戦でリーグ優勝が決まるというシビれる試合となり、未だに「10・8」と語り継がれる1994年の巨人vs中日戦も取り上げられています。

 

 個人的に一番印象的なのはやはり2007年日本シリーズの中日vs日本ハム戦で、3勝1敗と王手をかけて臨んだ第5戦で中日の先発山井投手が9回までパーフェクトピッチングをし、日本シリーズ初の完全試合かと沸き立った周囲を一瞥もせず、何もなかったかのように絶対的守護神岩瀬投手にスイッチして日本一を勝ち取った試合です。

 

 この本では言及されていませんが、山井投手がツメを割っていたという後日談もあったようですが、あそこで勝負に徹しきれる落合監督と、それを背負わされてサラっと(見せるように)試合を締めた岩瀬投手の凄みに今更ながらシビれます。

 

 というように、記憶に残る試合を思い起こすキッカケに一読の程を!