山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた/山中伸弥

 

 

 iPS細胞の開発でノーベル生理学・医学賞を受賞された山中先生の自伝的なインタビュー本です。

 

 元々山中先生の著書はこのブログでも今は亡き”ミスターラグビー平尾誠二さんとの”最後の交流”を紹介した『友情』を取り上げたこともあり、結構興味があったのですが、この本を手に取ったのは、読書家として知られる女優の芦田愛菜さんが「人生で一番魂が震えた」本として紹介されていて、彼女自身が病理学医を志すキッカケとして挙げられていたのに俄然興味をそそられたというワケです。

 

 いろんなところで語られていてよく知られていることになっていますが、山中先生は一時期整形外科の臨床医を志されていた時期があったようなのですが、かなり手術が”下手”だったということで、指導教授から名前をちゃんと呼んでもらえず”ジャマナカ”と呼ばれていたエピソードを紹介されています。

 

 その後、病理の研究に重点を置き、その面白さに目覚めていったということなのですが、粘り強く一つ一つ成果を積み上げて行かれる姿勢というのは、やはり研究医に適性があったということでしょうし、よくぞソッチの方へ進まれたもんだと思わざるを得ません。

 

 この本、芦田愛菜さんが小学生だった時に読まれたということなので、割と気軽に手に取ったのですが、かなりテクニカルにディープな内容が多いのですが、山中先生はそういう用語をあえて避けることはないのですが、全くそういう素養のないワタクシにも、細かいことはわからないながらも、それなりに言わんとすることのスジを見せてくれる”説明力”みたいなものはスゴイな、と感じさせられます。

 

 それにしても、小学生でこの難解な本を読んで、人生の方向性を決めるほどの感銘を受けたというのは、今更ながら芦田愛菜、恐るべし…