日本再興戦略/落合陽一

 

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

 

 

 昨日に引き続き落合さんの本です。

 

 「日本再興戦略」ということで、日本が再び浮かび上がるための方策について語られているのですが、このブログでよく取り上げている出口さんがおっしゃっていることに通じるのですが、日本の為政者たちは、戦後の大量生産のビジネスモデルを引きずり過ぎたという趣旨のことを落合さんもおっしゃっておられ、そういう流れで「欧米」という仮想の概念を追い求めるのは止めようよ、と提唱されています。

 

 おそらくそういう概念は、戦後の高度成長期どころか、明治維新から続いているんだと思うんですけど、ヨーロッパやアメリカを一緒くたにして、先を言っているところに追いつこうというモデルなんでしょうけど、それで国土を灰にしても懲りずに追い求めてきたものを、最早捨てないとホントに亡国だとおっしゃいます。

 

 そんな中で落合さんは、「欧米」に追いつくために、ある意味日本人が”捨てて”きたクリエイティビティを取り戻すことを提唱されています。

 

 すごく興味深い指摘だと思ったんですが、江戸時代というのはかなり独自の進化でありながら、「欧米」に劣らないほどの成熟をもたらしたと最近では再評価されてきているということなのですが、それをもたらしたのは「士農工商」の身分制度であり、そんな中でも大多数を占めていた「農」の持つクリエイティビティの資するところが大きかったということです。

 

 確かに為政者としての「士」と、経済を支えた「商」の役割が大きく取り沙汰されますが、あくまでもそれはプラットフォームとしての役割に過ぎないということで、「農」≒「百姓」…日本人は「百姓」と言うと農民を思い浮かべがちですが、元々の中国の五の意味合いからしても、様々なビジネスをする人と言う意味合いが強かったようですし、今でいうところの第六次産業的な要素を、当時の「百姓」も備えていたという指摘もあるようで、今日の「百姓」たる多くのビジネスパーソンたちが、本来備えていたはずの多様性を発揮して、テクノロジーの進化に見合ったビジネスモデルを見出すことを期待されているようです。

 

 ただ、そんな中で少種多量生産にフィットした教育制度が足かせにところが多いということで、多様な思考をできるような教育制度に改めることが喫緊の課題だとおっしゃられているのは、堀江さんなんかがおっしゃっていることとつながっているように思えます。

 

 ポテンシャルはあるんだから、ちゃんと成果に繋げようという提唱なのですが、我々も他人事とは思わずに、そういうムーブメントに資するようにしなければ、と…