サービスの達人たち 究極のおもてなし/野地秩嘉

 

サービスの達人たち 究極のおもてなし (新潮文庫)
 

 

 昨日に引き続き野地さんの「サービスの達人たち」シリーズの1冊なのですが、実は元々は『プロフェッショナルサービスマン』というタイトルで出版された本が文庫化されるにあたって、野地さん最大のヒット作と同趣旨の著書だということもあって、編集者が二匹目のドジョウを狙ってか、続編ぽくなって出版されることになったようです。

 

 前作は、消えつつあるサービスが多く含まれていたのですが、今回はインバウンドの盛り上がり始めた平成25年出版ということもあって、日本のサービス業の素晴らしさを再確認するといった意味もあるのか、カフェ、デパ地下の伝説の販売員、居酒屋、旅館といった我々も、サービスの内容がイメージしやすい業種・業態がほとんどとなっています。

 

 ここに出てこられている方は、それぞれが金言とも言えるモットーをインタビューの中で語られているのですが、一番この本を象徴していると思われたのが、新宿の思い出横丁の著名なもつ焼き屋である「ウッチャン」のご主人のコトバで、「自分の母親がカウンターに座っていて、なんこつを噛むのに苦労しているのを見たら、包丁で小さく切ったりするでしょう。気持ちを込めるっていうのは、誰に対してもそういう接客をすることです。」とおっしゃられていますが、やたらと愛想をするのが良いサービスなんではなくて、さりげなく個々のお客の様子を気にしていて、タイミングよく、こうして欲しいと思うようなことをできるようにしておくことが究極のサービスってことなんでしょうかね!?

 

 まあ、日本のおもてなしというのは、海外の、おカネをあまりかけないで受けるサービスがヒド過ぎるから、持ち上げられすぎていている気がするのですが、特に追加料金を受けることも無く、こういうサービスを当たり前のこととして提供する人たちがいるということは、やはりレベルが高いってことになるんでしょうね!?