そろそろ左派は<経済>を語ろう/ブレイディみかこ×松尾匡×北田暁大

 

 

 以前、BrExitを労働者階級の視点から紹介した『労働者階級の反乱』が印象的だったのですが、その後著書をお見受けすることが無くて手に取ってなかったブレイディみかこさんの著書を見かけたので、手に取ってみました。(只今、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が大ヒット中ではあるのですが…)

 

 この本は、サブタイトルに『レフト3.0の政治経済学』とあるように、経済政策に関する議論が大半を占めていて、さらに、2018年出版の著書でありながら、最先端の経済政策論も盛り込まれているので、結構難解ではあるのですが、背景となる英国の政治情勢なんかが興味深くて、結構厚めの本なのですが読まされましたね。

 

 そもそも最近はどこの国においても、左派政党と言うのは勢いがない国が多いようなのですが、そもそもそれは長らく政権から離れてしまったが故に、現実の経済政策から離れてしまって、政策の現実感が無くなってきているのをさらに見放されて、府のスパイラルに陥ってしまっていることを指摘されています。

 

 本来であれば、BrExitを支持した労働者階級だったり、トランプ大統領を支持するプアホワイトだったり、というのは左派的な政党がその支持の受け皿となるはずなのに、ただただ反対ばかりに終始していることを見透かされているのか、そういう層の支持が極右的な政策を標榜するぽぴゅりてぃストたちに流れてしまっているということです。

 

そういうところを超えて、左派政党が信頼を取り戻すためには、マルクス的な原典にまで立ち戻って、労働者階級を支援するような政治的な姿勢とバックグラウンドとなる経済政策の主張が求められているということで、ちょっと意外な気はしたのですが、資本主義の制度疲労が取り沙汰される中、共産党政権の壮大な”失敗”を踏まえての、社会主義的な新たな社会のあり方が見えてくるのかも…