ぼくらの未来のつくりかた/家入一真

 

ぼくらの未来のつくりかた YOUR BOOKS

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 連続起業家の家入さんが2014年の東京都知事選に出馬した際の経験をまとめられた本です。

 

 2014年の都知事選は、当時の都知事である猪瀬直樹氏の不正献金疑惑に伴う辞職で行われたモノで、その後同じく不祥事で辞任することになる舛添要一氏、革新系でその後何度も都知事選で敗れることになる宇都宮健児氏、反原発を旗印に立候補された元首相の細川護熙氏などと共に立候補されたのですが、当然といえば当然ですが、そういった有力候補の中では、多少ITベンチャーの担い手として知名度はあったとは言え、泡沫候補の扱いではあったものの、ネットを活用した当時としては画期的な選挙戦で注目を集め、上記有力候補には及ばなかったものの、9万票近くの得票を得て5位となったということです。

 

 どういう考え方で立候補に至って、選挙活動に取組まれたかということを語られているのですが、その中で再三「居場所を作る」ということをおっしゃっておられるのですが、それはご自身がひきこもりとなってツラい想いをされてきたのと、かなり偶然に近いとは思うのですが、新聞奨学生としての生活で社会生活を取り戻したという経験から、ニートや引きこもりの人たちに社会へのアクセスの機会を作り、少しでも社会復帰の機会を作りたいという熱意が伝わります。

 

 また、そういう”機会”というのは、ニートや引きこもりの人だけでなく、高齢者が若い人たちと交流するための機会としても考えておられたということと、そういう好例者が、ITに親しんでいることの多いニートや引きこもりの人たちからITスキルを教わるということまで考えておられたようで、なかなか有力候補とされる人には期待できないきめ細かい、社会的に大きな意義のある政策を提示されていたということで、そういう部分は、どこか取り入れてほしいところです。

 

 都知事と言う意味では、もっと高次の政策提示が無いとキビシイ部分はあると思うのですが、こういうコミュニティ性を重視した選挙戦と言うのは、今後の選挙のあり方の、一つのプロトタイプとなり得るというか、そういったスタイルも成功して行って欲しいという意味で、大事にしたい考え方だと感じました。