おどろきの中国/橋爪大三郎×大澤真幸×宮台真司

 

 

 社会学の3大巨頭とも言えるメンツが語る”中国”です。

 

 この本は2013年に出版されたモノなんですが、当時すでにGDPで日本を抜いて世界2位となるなど存在感を増していたワケですが、西欧的な価値観に近づいていって成功を収めた日本とは異なり、これだけの存在になっても、どこか異質感をぬぐえないのはなぜなのか、ということを解き解していきます。

 

 そもそも中国は西欧的な価値観が形成されるずっと以前から世界に冠たる存在であり、アヘン戦争以降に没落するまでは、ほとんどの時期においてトップクラスに君臨してきたプライドもあってか、安易に後付けの価値観に染まることが無いということがあるようです。

 

 特に現在に至るまで、国家としての”中国”が成功的な国家感に馴染まないのは、そもそも、それ以前から存在した中国に当てはまりにくいという部分があり、どちらかというとEUの様な連合体のような存在として捉えた方が実態に近いと指摘されています。

 

 ただ、習近平は世界をリードする存在になろうという野心を隠しませんが、それを実現するためにはやはり、西欧諸国もナットクするような説明責任を果たす必要があるはずなのですが、中国は未だそれを果たそうという意志が感じられないということで、アメリカの没落という要素があっても、実現は難しいんじゃないか、と指摘されていますが、7年後の今なお、その状況は変わっていないように見えます。

 

 こういう中国の根っこの部分を知っておくというのは、日本人である我々にとっても今後非常に重要だと思えますし、その目的のためにかなり的確な内容だとは思うのですが、これは社会学者としての仕事か!?というのは大きなギモンで、国政政治学地政学的な内容にも思えて、やっぱり社会学って捉えどころのない学問だなぁ、と改めて感じました。