ラストピース/下薗昌記

 

 

 ガンバ大阪が2012年にJ2に陥落してから、1年でJ1に昇格し、翌年にリーグ戦、リーグカップ天皇杯の3冠を達成するまでを負ったドキュメントです。

 

 ガンバというと、西野監督の下、攻撃的なサッカーでJ1屈指の強豪となったのですが、ヨーロッパ主要リーグなんかだと、優勝を伺うようなチームが下部リーグに落ちるなんて、かなりレアなんですが、Jリーグでは比較的頻繁に起こっています。

 

 しかも、J2から昇格したチームがその年に優勝するというのも、ありえないレベルのことなのですが、2010年の柏レイソルに続いて、2014年のガンバ大阪が成し遂げたワケですが、しかもそれまで鹿島アントラーズが1度達成しただけの3冠を成し遂げるという驚異の成果をあげたことになります。

 

 まあ、J2に落ちた年も、J1で最も得点をあげながら降格するという、ありえない現象ということもあったのですが、前年度まで辣腕を振るった名将西野監督をよくわからない理由で解任して、後任選定に相当迷走したことが原因だということで、遠藤や今野などの現役日本代表や、東口、倉田などその後の日本代表を担う才能をそろえていたにも関わらず、くるってしまった歯車は元には戻らなかったようです。

 

 その再建を託されたのが、ガンバとは縁もゆかりもなかった元エスパルス監督の長谷川健太さんだったワケですが、攻撃一辺倒で守備の約束事も希薄だったガンバの守備システムを、売り物である攻撃サッカーを損なわないまま整備された手腕を評価されています。

 

 ガンバと言うと、大勝することもあれば、惨敗することもあった出入りの大きなサッカーで、J2でも当初はそういう大味な試合をすることも少なからずあったのですが、J2でじっくり熟成して行ったおかげで、長谷川監督が志向した勝負強いスタイルが定着し、再びJ1で強豪として君臨していけたんだと思われます。

 

 長谷川監督の退任時も後任選びで迷走し、危うく再びJ2陥落の危機に陥りましたが、2012年の教訓も生きたのか何とか踏みとどまり、現在はクラブのレジェンド的存在である宮本監督が、上位を伺うチームに育て上げつつあります。

 

 個人的にはどっちかというと、同じく大阪をホームにするセレッソの方に興味がありますが、ガンバには今後も攻撃的なスタイルを貫きつつも、力強く勝ち続けてもらいたいものです。