空気は読まない/鎌田實

 

空気は 読まない

空気は 読まない

  • 作者:鎌田 實
  • 発売日: 2010/02/26
  • メディア: 新書
 

 

 この本が出版されたのは2010年なのですが、2007年に流行語大賞にノミネートされた”KY”の流行に呼応して執筆されたモノかと思われます。

 

 ”KY”であったり、”忖度”であったりと、とかく日本では言外の意味を読み取ることを過度に求められる傾向が強いですが、「空気を読む」というのは、コミュニティの結束を図るとか、秩序の維持を図るとか一定の役割を果たしているのは間違いないんでしょうけど、それが構成員のシアワセにつながっているのかというと、”忖度”が元で公文書の改ざんを強いられた挙句、自死を強いられた財務省近畿理財局の職員の方の礼を上げるまでもなく、否定的な側面が少なくありません。

 

 ましてや、新たな価値を生み出すイノベーションという意味では、「空気を読」んで、既存の価値の維持に汲汲とすることが、トレードオフ的な位置づけとなってしまうのは、想像に難くないことでしょう。

 

 この本では、”KY”とそしられることを恐れずに自身の価値観に従いシアワセを求める様々な姿が紹介されますが、自分がホントに望むことがちゃんと認識できていれば、それが如何に多数の人のモノであっても、他人の価値観に従うことのバカバカしさは言うまでもないでしょうし、そういう”当たり前”の価値観を改めて思い返させてくれるモノでした。