パパは脳研究者/池谷裕二

 

 

 昨日に引き続き脳科学者の池谷先生の著書ですが、この本は池谷先生がご自身の上のお嬢さんが生まれてから4歳になるまでの成長を、脳機能の進化という観点を通して語られます。

 

 池谷先生自身、かなり積極的に子育てにコミットされていて、密接にお嬢さんの成長を見ておられることもあって、”子育てあるある”と脳科学的な背景とのつながりを綿密に紹介されていて、非常に興味深い内容となっています。

 

 コトバを発し始めるところから、段々と単語レベルから文章のレベルになり、相手が言ったことに合わせた反応をするというコトバの成長過程や、行動の成長過程などを紹介されているのですが、脳の働きからして、それぞれの機能の成長というのは個性があるんだということで、各機能の成長にはばらつきがあり、ある一つの機能が遅れているのは単なる個性であって、過度に心配すべきことではないと指摘されているのが、多くの親御さんにとって安心材料になるのではないでしょうか。

 

 また、「いやいや」期への対応や、「なぜなぜ」への対応、「早期学習」の方向性といった子育てにおいて判断に悩みがちなトピックについても脳科学的な観点を踏まえた持論を紹介されているのですが、あくまでも「子育て」というのは、社会においてうまく生き抜いていくための対応を身につけさせるのが最大の目的だということで、そういうゴールに合わせてバランスよく対応することが重要だということです。

 

 それにしても、結婚後11年経って40歳代でようやくできたお嬢さんということで、池谷先生の溺愛ぶりも見もので、今後子供をもつおとーさん方に是非とも一読いただきたいと、子育てにあまりコミットせずに未だにヨメに非難されるダメ父が言っても説得力ないか…