運命の恋をかなえるスタンダール/水野敬也

 

運命の恋をかなえるスタンダール

運命の恋をかなえるスタンダール

 

 

 最近、次女の塾のセンセイがヨメに色々本を貸してくれているようで、おそらく次女が『夢をかなえるゾウ』を読んだ話をしたと思われ、水野敬也さんのこの本を借りてきていたので、ワタクシも手に取ってみました。

 

 物語の舞台設定としては『夢をかなえるゾウ』に似通っていて、今回ゾウの代わりに現れるのがスタンダールで、『恋愛論』に沿って主人公に恋愛指南をするといったモノになっています。

 

 今回は、主人公が父親の捏造事件がキッカケで世間との関わりを最低限にして、本の世界に閉じこもっているという設定から、『夢をかなえるゾウ』など水野さんの他の著書と違って、ワチャワチャした感じは抑制されていますが、それでもスタンダールのキャラ設定はゾウに通じるモノがあります。

 

 分厚い眼鏡をかけて化粧もロクにしなかった女性が、次第に容姿に気を遣うようになり華やかさを纏うようになり…というありがちなストーリーではあるのですが、局面局面で主人公が如何にして一歩を踏み出すかというのは、結構誰にでも身につまされる所があるモノになっており、そういう局面でのストーリーテリングは、サスガが水野さんといった感じです。

 

 一見軽い感じで読める本ですが、泣ける設定もちゃんと用意されており、大騒ぎはないものの笑わせて泣かせる水野節は健在といった本です。