パックス・チャイナ 中華帝国の野望/近藤大介

 

 

 先日、近藤さんの最新刊である『ファクトで読む米中新冷戦とアフター・コロナ』を紹介しましたが、こちらは2016年時点の中国の状況を追った本です。

 

 この頃は、オバマ政権の頃で、習近平が、オバマ政権の「戦略的忍耐」なるサボり政策につけ込んで、習近平政権下の中国が勢力を伸長させていく様子を紹介されています。

 

 ちょうどこの頃、超タカ派の安倍政権になっていたからよかったものの、習近平就任後に、ワケのわかっていない民主党政権だったら、きっと今頃尖閣諸島は中国に雄幸氏はインされていたんじゃないかと思わせるほどの、中国のガツガツぶりと、日本とオバマ政権のダメっぷりを伺わせます。

 

 途中で、こりゃマズいということで反攻を始めるワケですが、習近平政権は、対中強硬派のクリントンが大統領になる前に、やれるだけやっておこうということで、かなりやりたい放題だったようで、まあ、その後もっとワケの分からないトランプが計算外で大統領になったことで、ビミョーに停滞したのがよかったのか悪かったのか…って感じですが、やはり香港のみならず台湾までも併呑しようとする野心は、このころからかなり明らかだったようで、こういうことをあまり安倍・菅政権が意識していないのか、大手メディアが鈍感なんだかわからないですけど、あまり日本の一般的な認識になっていないのはかなり危険な気がします。

 

 単なる中国寄りのウォッチャーなのかと思いきや、そうだったらここまで書かないのかな…と思わせるような、切迫した状況を紹介されています。