国家情報戦略/佐藤優、高永喆

 

国家情報戦略 (講談社+α新書)

国家情報戦略 (講談社+α新書)

 

 

 手嶋龍一さんとの『菅政権と米中危機』など一連のインテリジェンスについて対談本が知られる”知の怪人”佐藤優さんですが、こちらの本は何と韓国の元インテリジェンス・オフィサーとの対談本です。

 

 2010年の出版ということで、日韓関係の変化を含めて、相当現在とは状況は異なるのですが、かなり読み応えのある内容となっています。

 

 対談相手の高さんは、海軍勤務からインテリジェンス・オフィサーになられたということなのですが、日本のメディアに提供した情報が意図しない形で公表されたこと訴追され有罪になったことで職を離れ、現在は日本の大学で教鞭を取られている方です。

 

 佐藤さんの対談本というと、佐藤さんの余りの情報量に対談相手が圧倒されてしまうことが多いのですが、この本は日韓それぞれのインテリジェンスに関することでの対談ということで、お互いの守備範囲がビミョーに重ならず、しかも関連性が強いため、佐藤さんの対談本の中でもトップクラスに内容の濃いモノとなっています。

 

 特に、韓国に取って重要なインテリジェンス対応先である北朝鮮との関係について、佐藤さんがソ連~ロシアに関するインテリジェンス活動が長いこともあって、双方の情報の照合でより深い事実検証につながってる部分が多く、かなりスリリングです。

 

 同盟国だから当たり前と言われれば当たり前なのですが、日韓はかなり密接なインテリジェンス活動の連携があったようで、昨今の軋轢でこういった交流が希薄になったかと思うとかなり心もとない気がするのですが、中国や北朝鮮の圧力の中、両国がどういう方向に進んでいくのか、今となってはかなり不安を抱かせるモノです…