間違いだらけの公務員制度改革/中野雅至

 

 

 このブログでもいくつか著書を紹介している、地方公務員からキャリア官僚、大学教授という異色のキャリアをたどられた中野雅至さんによる公務員制度改革についての本です。

 

 タイトルからすると、ちょっと下世話な感じの論評本かと思いきや、かなり学術論文的な内容となっており、公務員制度のかなり詳細な内容も多く、結構難解なモノです。

 

 この本が出版されたのが2006年ということで、かなり官僚を取り巻く状況も変わっているのですが、小泉内閣において志向された公務員制度改革の蹉跌と、有効な人事制度導入の難しさを紹介されています。

 

 その後の官邸による幹部公務員支配についての懸念など、現在の官僚の腐敗を予見するようなトピックも取り上げられており、難解ながらもそれなりに興味を引くところがあります。

 

 結論として、政官分離、権限移譲、成果主義の導入を提唱されていて、官民の人事交流などにも触れられているのですが、硬直的な公務員の組織において風通しを良くするという意味で意義あるモノだとは思えますが、特に成果主義において、職務定義の重要性の指摘などは、ある程度成果指標が明確になり易い民間においても導入が滞っている中で、職務内容が多岐にわたり、その成果を評価しにくい公務員においては、相当高いハードルだということが想像できます。

 

 ただ、如何にすれば国民に信用されるような組織に変化しうるのかという議論の端緒として有効と思われ、そういう志向が少しでも取り入れられればとは思うのですが、なかなか難しいでしょうねぇ…