これでわかった!!値段のカラクリ/金子哲雄

 

これでわかった!!値段のカラクリ

これでわかった!!値段のカラクリ

  • 作者:金子 哲雄
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: 単行本
 

 

 2012年に亡くなられた流通ジャーナリストの金子哲雄さんによる、モノの値段の秘密に迫った本です。

 

 ちょうどその頃、吉本佳生さんの『スタバではグランデを買え!』など値付けの内幕を紹介する本が流行っていたように記憶していますが、まあ、この本もその流れの1冊にはなるんでしょうけど、流通ジャーナリストを標榜するだけあって、かなり”深い”洞察が見られます。

 

 モノの値段というと、本来は経営戦略から導かれるモノであるはずで、多くの企業では多かれ少なかれ、経営戦略を反映しているモノなのですが、モノの原価に対して、どういう値段をつけるかということについて、各界で成功しているといわれる企業の考え方を紹介されています。

 

 当然、商品の原価だけで価格を決めることができるワケではなくて、販売する人の人件費や配送費、広告宣伝費など様々な経費が乗っかってくるワケですが、どこにどれだけそれぞれの経費をかけるのか、というのがその企業の経営戦略から導かれるワケです。

 

 当然ディスカウントストアなんかだと、できるだけ経費を抑えて、ということになるワケですが、それでもポリシーとして抑えてはいけない経費というモノがあって、そのメリハリのつけ方が、経営の成否となった現れるワケです。

 

 印象的だったのが、100均ストアとして知られるダイソーの戦略で、できる限り原価を50円に統一することで原価管理のためのコストを抑制し、さらには個々のアイテムの在庫管理すら放棄して、店舗の方の感覚に頼ることで、在庫管理のコストも抑制しているということで、結構小売業のセオリーを根底から無視した戦略をとれるところが成功要因となっているようです。

 

 その他、ユニクロしまむらの利益構造の対比など、かなり身近にイメージできる企業の収益構造を、多々つまびらかにしているので、自社の利益率が向上するためにマネをしやすいところを見つけることができるかもしれません。