2023-01-01から1年間の記事一覧

隣国の発見/鄭大均

隣国の発見 ――日韓併合期に日本人は何を見たか (筑摩選書 256) 作者:鄭 大均 筑摩書房 Amazon 日韓関係論で多くの著書がある方が日韓併合期に韓国を訪れた日本人の韓国についての所感をまとめた本です。 韓国では併合されていた時期を暗黒期として、それ…

出世と恋愛/斎藤美奈子

出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書) 作者:斎藤 美奈子 講談社 Amazon 文芸評論家の斎藤美奈子さんが明治以降の文学から「男と女」を読み解くといった趣向の本です。 純文学というと取っつきにくいというか、辛気臭いというか、そういうイメー…

世界史とは何か/小川幸司

世界史とは何か: 「歴史実践」のために (岩波新書 新赤版 1919) 作者:小川 幸司 岩波書店 Amazon 2022年度から高校のカリキュラムで「歴史総合」が始めることを受けて、出版が始まった岩波新書の「歴史総合を学ぶ」シリーズですが、これまで第一弾の『世界史…

持続可能な発展の話/宮永健太郎

持続可能な発展の話: 「みんなのもの」の経済学 (岩波新書 新赤版 1974) 作者:宮永 健太郎 岩波書店 Amazon 環境保全の観点から経済学を語られたモノで、SDGsがクローズアップされるようになった背景には経済的な側面もあったということを紹介されています。…

ファーストペンギン/坪内知佳

ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡 作者:坪内 知佳 講談社 Amazon 以前、2017年に出版された『荒くれ漁師をたばねる力』を紹介しましたが、2022年に女優の奈緒さん主演で『ファーストペンギン』としてその半生がドラマ化され…

検査なんか嫌いだ/鎌田實

検査なんか嫌いだ (集英社学芸単行本) 作者:鎌田實 集英社 Amazon 終末期医療で知られる諏訪中央病院の元院長である鎌田センセイの医者にあるまじきタイトルの本ですが、昨日に引き続き検診にまつわる本です。 『80の壁』の和田センセイや「ガンもどき」でガ…

人間ドックの作法/森勇磨

人間ドックの作法-心構え、受けるべき検査、検査結果の見方など、丸ごと徹底解説 (単行本) 作者:森 勇磨 中央公論新社 Amazon ワタクシ位のお年頃になると人間ドックは、毎年何らかの不具合を指摘されて、不承不承再検査なんてことになりかねなくて憂鬱なの…

日本人の真価/藤原正彦

日本人の真価 (文春新書 1369) 作者:藤原 正彦 文藝春秋 Amazon かつて2005年出版の『国家の品格』で、その頃既に経済的には下降局面にあって自信を無くし始めていた日本人に大きく支持された藤原正彦さんが、『文藝春秋』誌に連載されているエッセイ的な文…

どうすれば日本人の賃金は上がるのか/野口悠紀雄

どうすれば日本人の賃金は上がるのか (日経プレミアシリーズ) 作者:野口悠紀雄 日経BP 日本経済新聞出版 Amazon かつて1993年出版の『「超」整理法』で一世を風靡した(もう、40年の前のハナシなのね…)野口先生が本職に近い領域で、長らく日本の宿痾となっ…

葬式格差/島田裕巳

葬式格差 (幻冬舎新書) 作者:島田 裕巳 幻冬舎 Amazon 先日、2010年に出版された『葬式は、要らない』を紹介しましたが、この本はその好評を受けてか、2018年に出版された続編というか、よりディープに葬式の現状について紹介された本です。 『葬式は、要ら…

はじめての親鸞/五木寛之

はじめての親鸞 (新潮新書) 作者:五木 寛之 新潮社 Amazon 先日紹介した島田裕巳さんの『ほんとうの親鸞』は親鸞のナゾなところにフォーカスが当たっていたので、なかなか人物像みたいなものを思い浮かべることは難しかったのですが、俄然興味を掻き立てる内…

ぼけの壁/和田秀樹

ぼけの壁 (幻冬舎新書) 作者:和田秀樹 幻冬舎 Amazon 毎回同じことが書いてあるとボヤキながら手に取っている和田センセイの老後本ですが、今回は認知症についてかなり深いところまでツッコまれています。 『80歳の壁』以降一連の著書の中で一貫して認知症は…

未来ノート/佐藤由美子

未来ノート~1冊のノートで未来を変えた2人の物語 作者:佐藤由美子 大和書房 Amazon 心理コンサルタントの方が、人生に閉塞感を感じている二人の中年女性が、タコの絵のノートに自身の素直な想いを書くことで再生していく様子をストーリー仕立てで紹介した本…

いいね!ボタンを押す前に

いいね! ボタンを押す前に──ジェンダーから見るネット空間とメディア 作者:李 美淑,小島 慶子,治部 れんげ,白河 桃子,田中 東子 亜紀書房 Amazon 元TBSアナウンサーで現在は様々な雑誌への寄稿でも知られる小島慶子さんや、『「婚活」時代』などジェンダ…

運動脳/アンデシュ・ハンセン

運動脳 作者:アンデシュ・ハンセン Amazon 『スマホ脳』が大きな話題をまいたアンデシュ・ハンセンさんの著書ですが、今回のテーマは「運動」です。 精神科医の樺沢紫苑さんが『ブレインメンタル大全』などの著書で再三運動が精神衛生上多大な影響を及ぼすこ…

「宗教」のギモン、ぶっちゃけてもいいですか?/島田裕巳

「宗教」のギモン、ぶっちゃけてもいいですか? 作者:島田 裕巳 実務教育出版 Amazon 宗教学者の島田裕巳先生が、居酒屋で偶然隣り合わせた若いカップルの宗教に関する素朴なギモンについて語られるというカタチで、日本人の宗教にまつわる習慣について語られ…

無宗教でも知っておきたい宗教のことば/島田裕巳

無宗教でも知っておきたい宗教のことば 作者:島田裕巳 朝日新聞出版 Amazon 島田先生ご自身は、日本人の多くの人が「無宗教」を自称しながら、かなり宗教的な行動をしていることを再三指摘しておられますが、「無宗教」を自称したとしても「常識」として知っ…

日本人の底力/菅原文太

日本人の底力 作者:菅原 文太 宝島社 Amazon 昭和の名優菅原文太さんは晩年有機農業や環境問題への取り組みなど社会的な課題についての発言を積極的にされていたことで知られますが、2003年からお亡くなりになる2014年まで続けられた『菅原文太 日本の底力』…

「戦前」の正体/辻田真佐憲

「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史 (講談社現代新書) 作者:辻田真佐憲 講談社 Amazon 明治維新から太平洋戦争の終戦に至るまでの時期に、神道が日本人の精神生活にどのような影響を及ぼしたのかについてを語られた本です。 明治維新以降、特に日中戦…

ほんとうの親鸞/島田裕巳

ほんとうの親鸞 (講談社現代新書) 作者:島田裕巳 講談社 Amazon 空海、日蓮と並んで日本仏教史における最大巨人の一人に列せられることもある親鸞なのですが、他の二人と比べても、今なおかなりわからないことが多い親鸞について語られた本です。 タイトルだ…

葬式は、要らない/島田裕巳

葬式は、要らない (幻冬舎新書) 作者:島田 裕巳 幻冬舎 Amazon 昨日紹介した『いつまでも親がいる』で、宗教が親子関係に及ぼす影響について語られていましたが、この本では宗教と葬式の関係、もしくは日本人の葬式に対する考え方を語られています。 実は諸…

いつまでも親がいる/島田裕巳

いつまでも親がいる 超長寿時代の新・親子論 (光文社新書 1114) 作者:島田 裕巳 光文社 Amazon 宗教学者の島田裕巳さんが親子関係を宗教の影響という観点から語られた本です。 欧米ではかなり早いうちに親から「独立」することで知られますが、元々生まれた…

新・日本人論

新・日本人論。 作者:釈徹宗,速水健朗,湯山玲子,大谷能生,島田裕巳,松谷創一郎,大野宏,広瀬和生,山本一郎,春日武彦,五十嵐太郎,長谷川祐子,木俣冬,宇野常寛,さやわか,大原ケイ,真実一郎,館淳一,與那覇潤,佐藤綾子,水道橋博士 ヴィレッジブックス Amazon この…

唐/森部豊

唐―東ユーラシアの大帝国 (中公新書) 作者:森部豊 中央公論新社 Amazon 冒頭で「日本人で「唐」という名を聞いたことがない人は、まず、いないだろう。」と語られていますが、確かにその通りで遣唐使などを通じて「唐」という名前は誰もが知っているはずです…

エースを出せ!/日垣隆

エースを出せ!―脱「言論の不自由」宣言 (文春文庫) 作者:日垣 隆 文藝春秋 Amazon 最寄りの図書館で日垣さんの未読本を見つけたので手に取ってみました。 この本が出版されたのが2002年で約20年前のモノとなりますが、日垣さんが様々な雑誌メディアに寄稿さ…

ウクライナ戦争の嘘/手嶋龍一、佐藤優

ウクライナ戦争の嘘-米露中北の打算・野望・本音 (中公新書ラクレ 796) 作者:手嶋 龍一,佐藤 優 中央公論新社 Amazon ロシアのウクライナ侵攻以降、雨後のタケノコのごとく、ロシア専門家があまり妥当性があるとは思えないコメントを吐き散らすのに辟易して…

思い出せない脳/澤田誠

思い出せない脳 (講談社現代新書) 作者:澤田 誠 講談社 Amazon 昨日に引き続き脳の機能についての本なのですが、本日紹介するのは記憶にフォーカスしたモノです。 ワタクシのように50歳代も半ばとなると、ちょっとしたモノ忘れに敏感になってしまうお年頃な…

まちがえる脳/櫻井芳雄

まちがえる脳 (岩波新書 新赤版 1972) 作者:櫻井 芳雄 岩波書店 Amazon AIの進化とともに脳についての関心も高まっているように思えますが、実は脳というのはAIとは異なり、かなり「まちがえる」ことが多いようで、それでも一見多くの場面で「正しい」と…

独学の思考法/山野弘樹

独学の思考法 地頭を鍛える「考える技術」 (講談社現代新書) 作者:山野 弘樹 講談社 Amazon 若き哲学者が紹介される「独学」の方法論です。 あとがきの中で「独学」について、「すぐ答えの出る(試験問題的な)問いを扱う「達成のための独学」」と「すぐには…

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門 作者:宇多丸,高橋 芳朗,DJ YANATAKE,渡辺志保 NHK出版 Amazon 個人的にあまりラップには親しみがないのですが、前々から興味はあって、どんなものかを知ろうと思って、こんな本があるのを知って手に取ってみました。 …