会社の品格/小笹芳央

会社の品格 (幻冬舎新書)

会社の品格 (幻冬舎新書)

 「〜の品格」ってタイトルの本が、何匹目かのドジョウを狙って、
雨後のたけのこのように乱立して、「そんなヤツに品格を語られたく
ねえや!」みたいな本も結構ありましたが、その眉唾な気持ちを超え
て、この本を手にとってよかったです。

 まあ、と言うのも、この方の本は何冊か読んで好印象があったから
なのですが…

 趣旨としては、会社と言うものを如何に暴走させずに、ゴーイング
コンサーンとして継続させるか…その鍵になるのが、「品格」で、
それをもたらすのが「社員」だということです。

 元々、「法人」としての会社は、経済的合理性を求めるために作ら
れるもので、その「本能」に任せると、手段はどうあれカネを儲ける、
という方向に行くようです。
 でも、それでは社会の中で生きていけなくなるので、折り合いをつ
けるために、会社の社会的な存在意義が必要になるということです。
 で、その存在意義を支え続けるのが、結局「人」たる「社員」だと
いうことです。

 この本で語られているのは、診断士試験で言う、企業経営理論の
うちの「組織論」に当たる部分になるのですが、そういう教科書的な
トピックを扱っていながら、その背景となる現実に即して、問題と
なりがちなところや、理論だけで割り切れない部分を、コンサルの
経験を踏まえて、解きほぐしておられて、非常に感銘を受けました。

 診断士の受験生で組織論を苦手にされている方に、一読をおすすめ
致します。