この世でいちばん大事な「カネ」の話/西原理恵子

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)

 お金を軸に展開されるサイバラさんの自伝的なエッセイです。

 メインテーマは、貧困がもたらす悲劇とそこから抜け出すことの困難と、
それでもどうにかしてそこから抜け出すことの重要性、と言ったところで
しょうか…

 基本的に、漫画家として大成するまで、非常にお金に苦労をされて育っ
てこられたようですが、ウチも、そこまでは行か内にしても、少し似た
環境にあったということもあり、電車の中で読んでいたのですが、完全に
周辺から切り離されたような感覚で、作品の世界に入り込んでしまいました。

 これって、現代の話?ってくらい悲惨で絶望的な状況が今も確かにあり、
そこから抜け出すことが、絶望的に困難な中で、非常に稀な機会で与えら
れた「ワラ」にすがって、現実を超えていくことに感動を覚えますが、
何か、でも清々しさはありません。

 何かで、サイバラさんが勝間さんと対談していたのを読んだときに、
女性が自立できることの重要性で共感しておられましたが、こういう壮絶
な状況を見ると、そりゃそう思うだろうなあ、と思いました。

 非常にヘビーな内容ですが、現代の日本人は一読しておいた方がいい本
だと思いました。