勝つことのみが善である/永田洋光

勝つことのみが善である - 宿澤広朗 全戦全勝の哲学

勝つことのみが善である - 宿澤広朗 全戦全勝の哲学

 前回、宿澤さんの著書を取り上げたときには、ラグビーW杯唯一の
勝利をもたらした監督、と書きながら、もうすぐその肩書きも無効に
なると思っていたのですが、また4年間続くことになってしまいま
した…

 で、この本は、宿澤さんが無くなった直後に出版された、宿澤さん
の評伝です。
 著者が、ラグビーライターとして著名な方なので、ラグビー界での
事績が中心ではありますが、三井住友銀行での事績も多く取り上げら
れていて、宿澤さんの、文字通り「駆け抜けた」人生を、痛快感いっ
ぱいに描かれています。

 まあ、ラグビーのことだけをとりあげてみますと、宿澤さんの蒔い
た種が、今回のW杯で一定の成果をもたらすものだと思っていたの
ですが、残念ながらそこまでにはなりませんでした。
 でも、宿澤さんが、勤務先と比較して歯がゆく思っていた、協会
の動きもなんらかの進歩が見られたように見受けられます。

 2019年のW杯日本開催に向けて、次のW杯さらには日本でのW杯
で世界に恥ずかしくない状態になることを期待してやみません。

 でも、やっぱりその段階で、宿澤さんがいたらなあ、と思います。