泣いた日/阿部勇樹

泣いた日

泣いた日

 南アフリカW杯の日本代表で、ベスト16進出の影の立役者となった阿部選手の著書です。

 同時期に出版された、長友選手のサクセスストーリーや、長谷部選手、川島選手のビジネス
書を意識したようなものとも違って、阿部選手の「人間」としてのココロの揺らぎも含めた
心象風景を描いたような本です。

 長友、長谷部、川島各選手の言ってみれば、カリスマ性を助長するような感じの内容と
対照的に、日本を代表するアスリートでも、悩みのレベルは違うにせよ、自分たちが日々
感じているのと、そんなに変わらない悩みや、心のゆらぎをかんじているんだなあ、と
思うと、異様に親近感が湧いてきます。

 阿部選手は、昔っから泣き虫だったそうなんですが、悔しくて泣いたこと、感激して
泣いたこと等々、オシム監督祖母井GMやジェフ時代、レッズ時代の同僚といったサッ
カー関係者や、ご両親や奥様などの家族などの視点から見た阿部選手の描写なんかも
含めて、等身大の阿部選手を描こうとしているように思えました。

 今まで、個人的には、サッカー選手としての阿部選手に特別な魅力を感じたことは
あまりなかったのですが、今後、気になって仕方のない存在させられる、そんな本です。