デフレの正体/藻谷浩介

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

 2010年のベストセラーを、ずっとずっと読みたい!!と思い続けながら、図書館で…と
ヨコシマな考えを持ちながら待っていても、刊行以来2年を過ぎても、順番待ちが3桁!
 と言うことで、ようやくあきらめて自分で買って読みました。

 で、感想は、と言うと、何でもっと早く買って読まなかったんだろう!という感じでした。

 副題にもあるとおり、デフレに限らず、今の経済状態の不調は人口動態、特に生産可能
人口の動きで説明ができるものである、と言うことが内容の柱となっています。

 とかく、中国にGDP総額で抜かれたとか、マクロ経済政策の失敗だとか、不景気のせい
だ、とか総論の指標で原因を指摘しようとする「SY(数字をよまない)」な「専門家」に
対して、執拗なまでの指摘を続けます。

 確かに、そういうものが一面をなすことには間違いがないのですが、そういう指摘の中か
らは、解決に向けた処方箋がつむぎ出せない、という指摘をされています。

 藻谷さんは、如何に現役世代にお金を持たせて、実の消費に向かわせるか、ということが
問題の解決につながる、と考えておられて、そのための施策として、
  ・外国人の就労者の積極的な受け入れ
  ・女性の就労の促進(特に、結婚しても就労を継続できる環境を作ること)
  ・高齢富裕層から現役世代への所得移転
を提唱されています。

 よくある、生産性の向上や、高年齢層の就業拡大は、逆効果になりかねない、ということも
指摘されています。

 マクロ経済学の基本的な知識がないと、読みこなすのはキビシイとは思いますが、非常に
骨太の強い理論展開に、ホレボレしますよ!