主審告白/家本政明、岡田康宏

主審告白

主審告白

 Jリーグをよく見ている人だったらご存知かもしれませんが、恐らくJリーグの
主審の中で、最も毀誉褒貶の幅の激しい方の著書です。

 2008年のオープニング・マッチである、ゼロックス・スーパーカップの鹿島対広島
戦でPKの判定をめぐり大荒れとなった試合があり、その結果、一時期家本さんへの
主審の割り当てを停止されていた時期がありました。

 それに反して、2010年南アフリカW杯直前の、イングランド対スペインの試合を
あのウェンブリーで裁き、FAからの絶賛を受けた家本さんをご存知の方もいるかも
知れません。

 その「地獄」で始まり「天国」でこの本が締めくくられます。

 家本さんは、日本のサッカーの主審ほどステータスの低い審判は、他の国でも
他のスポーツでも無い、と言います。

 サッカーの審判の方の書いた本を何冊か読みましたが、そのたびにこのスポーツ
の奥深さを痛感させられますが、多くの日本人は、審判への扱いを見ていると、
この奥深さをあまり理解していないんじゃないかと思います。

 その証拠に、国内では非難を浴びることの多い家本さんが、海外では非常に
評価が高い、ということがあります。

 日本では、審判は「反則を裁く」のが役割だと思われているんじゃないか、と
思うのですが、ヨーロッパでは、ゲームをより円滑に進めることが目的になる
ようです。

 その辺のゲームを大事にする感覚ができてこないと、日本は世界に追いつけない
んですかねえ…