なぜボランチはムダなパスを出すのか?/北健一郎

 サッカー小僧新書と言う、スゴーくマニアックなサッカー本ばかりを出版する新書の
ラインナップがあって、その中の1冊なのですが、そのマニアックなラインナップの中
にあっても、一際マニアックな一冊です。

 要は、少なくとも日本では当代随一のボランチのポジションでのゲームメイカーと
言われる遠藤選手が出すパスに関する考察をメインテーマとした本です。

 遠藤選手って、今や日本代表でも替えの効かない選手としての評価が不動のものと
なっており、随分と評価も高いですし、ワタクシ自身も、今は大好きな選手の一人で
すが、かつてガンバがクラブワールドカップで、マンチェスターユナイテッドと戦った
試合を見るまでは、その魅力がよくわかりませんでした。

 その分かりにくさを解きほぐして、遠藤選手の凄さを解説されています。

 例えば、遠藤選手は、見方からパスを受けたら、そのままパスを出した相手にすぐに
パスを返すことがあります。
 また、割とよく、バックパスを使っていたりします。

 ワタクシ自身、遠藤選手が好きになってからも、なんでこんなことするんやろ?と
疑問に感じていたのですが、それが「3手先」を読んだプレーであることを、この本では
解説されていて、深く納得しました。

 その他、ピルロやシャビなど、優秀なゲームメイカーに共通する、「動かずに」相手を
外すテクニックとか、相手DFにベタ付きにされている見方に、安全にパスを出すテクニック
とか、如何に、ピッチの広範囲に渡って、細かい状況が把握できているか、ということを
実例を伴って語られています。

 今年は、ガンバがJ2ですし、この本を抱えて、遠藤選手を観察して、サッカーの観戦
スキルを上げていきたいと思います!