社蓄のススメ/藤本篤志

社畜のススメ (新潮新書)

社畜のススメ (新潮新書)

 なかなか刺激的なタイトルですね。(笑)

 最近、若い人を中心に「自分探し」ということがよく言われていま
すが、この本のコンセプトは、言ってみれば真逆のことをすすめられ
ています。

 確かに、自分にしかない価値というものがあれば、重宝されること
は間違いないのですが、何のベースも無いところに、いきなり「自分
らしさ」を求めてしまうと、迷走してしまうことになると、この本の
中で警鐘を鳴らされています。

 ということで、「自分に合った」仕事を求めて転職する人がいます
が、自分のスタンスと言うものが固まっていないので、ちょっとした
ことで違和感を感じて、転職を繰り返してしまうリスクが高いと言う
ことです。

 いずれは、自分なりの価値を出していかなければ生き残っていけな
いということあるんでしょうけど、著者は、能の世界において言われ
る(最近、ビジネス書とかでもよく取り上げられますが…)「守・
破・離」ということを例に挙げられて、「守」の段階の大切さを強調
されています。

 サラリーマンとしての生涯を40年弱として、ざっくりその3分の1に
あたる、12年位を「守」の段階だと思って、「学ぶ」ことが、自分の
ベースを作る上で、重要だとおっしゃいます。

 若い人から見ると、10年以上もガマンするなんて気が遠くなる想い
がするでしょうけど、妙に納得させられてしまいました。