不屈の「心体」/大畑大介

不屈の「心体」―なぜ闘い続けるのか (文春新書)

不屈の「心体」―なぜ闘い続けるのか (文春新書)

 珍しくラグビー関係の本が続きます。

 元ラグビー日本代表で、テストマッチでのトライ数世界記録保持者である大畑選手の
著書です。

 年代別の日本代表もケガで離脱した選手の代役で滑り込みつづけるなど、決してエリート
ではなかった大畑選手ですが、ギリギリでつかんだチャンスで、その度に結果を残し、とう
とうフル代表の不動のウインガーにまで登りつめるのですが、本のタイトルにもある通り、
「不屈」という言葉がぴったりです。

 驚くべきはメンタルの強さなのですが、本人もこの本の中で書いているように、「調子乗り」
の正確で、ちょっと位キビしい状況にいないと有頂天になってダメになる、ということなの
ですが、それだけでは語りきれないモノがあると感じます。

 というのも、2007年のフランスでのW杯を控えた2006年のリーグ戦の最終戦でアキレス腱
を断裂し、ギリギリのギリギリのタイミングでリハビリを間に合わせて臨んだ、直前の試合
で、また逆の足のアキレス腱を断裂してしまうという、あまりにも過酷な経験をも乗り越えて、
「日本一有名なラグビー選手」として、ケガで引退してしまってラグビーのイメージを悪く
したくない、と現役復帰を果たすところなど、想像を絶する思いです。

 とは言うものの、ご当人の明るいキャラが、そういう壮絶な体験をも笑い飛ばしてしまっ
ているようで、最初、オビの「ラグビー版『竜馬がゆく』」って表現で笑ってしまいました
が、読了後は、それもアリかも…と思わされます。