駅伝がマラソンをダメにした/生島淳

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)

駅伝がマラソンをダメにした (光文社新書)

 『箱根駅伝 (幻冬舎新書)』『箱根駅伝 新ブランド校の時代 (幻冬舎新書)』と
紹介してまいりましたが、どちらもこの本の続編だったようです。

 ちなみに、この本が出版されたのは2005年で、「柏原以前」です。

 『箱根駅伝 (幻冬舎新書)』でも触れられていましたが、
箱根駅伝は、日テレがフル生中継をするようになってすっかり様変わり
してしまい、「甲子園化」が顕著だといいます。

 今からだと信じられないですが、「日テレ」以前の箱根への各大学の
対応が紹介されていて、言葉は良くないですが、片手間での対応って
感じの大学もあったようです。

 「日テレ」以後、箱根駅伝の波及効果に注目した、新興校が箱根に
向けた強化に成功した結果、大きく入学者を増やすという成功があって、
少子化の流れもあって、ブランド校も「箱根効果」を無視できなくなって、
より箱根に向けた強化に力が入るようになったということです。

 その結果、有力ランナーが箱根のために進学することになり、箱根向け
の強化に従事した結果、マラソンの強化が蔑ろにされ、世界から置いて
行かれた、ということです。

 この本が出た当初は、女子マラソンでは、オリンピックで日本人2連覇
中で、女子に箱根はないから、マラソンの強化に集中できた、という比較
論的な論評がされているのが、今となっては虚しい感じです。