旅する力/沢木耕太郎

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

旅する力―深夜特急ノート (新潮文庫)

 この本は、名作『深夜特急』の総括って言うんでしょうか、『深夜特急』の
ベースとなった旅に出かけるまでの状況…大学を卒業してルポライターになった
時から、1年あまり旅に出かけて、旅から帰って『深夜特急』を書くに至り、
書き終えてしまうまでの経緯を書かれています。

 ワタクシが『深夜特急』を読んだのは30歳手前で、既に結婚もしていたので、
これを読んで、こういう旅をしようと掻き立てられるに至ることは、幸いなかっ
たのですが、読む時期によってはヤバかっただろうなあ、と思っていました。

 でも、『深夜特急』に描かれている旅の最中のココロの揺れ方など、自分自身
がフリーで海外を旅行していた時の情景がリアルに蘇ってきて、そういう心境を
持て余し気味だったこともありました。

 いろんな毀誉褒貶があった『深夜特急』ですが、完結してかなりの時間が経つ
のにこういう本を出されたというのは、何かご自身の中で決着をつけないといけ
ないものがあったんでしょうね。

 それが何かはわからないですが、なんとなくそういう気持ちはわかる気がします。