だれ誰でもわかる居酒屋サッカー論/清水英斗


 ブラジルW杯アジア最終予選のヨルダン戦から、コンフェデの日本代表と
2012/13チャンピオンズリーグ、コンフェデでの列強の戦いを、酒の肴にして、
新進気鋭のサッカーライターが語る、という趣向の本です。

 「誰でもわかる」とありますので、ある程度噛み砕いて話してはくれている
のですが、ド・初心者向けかというと、そういうわけではなくて、ある程度
代表の試合なんかをテレビで見て、ちょっとサッカーを語りたくなり始めた人
に、こういう視点でサッカーを見てはどうですか?と提案するような側面も
感じられて、ちょうどそういうフェイズにあるワタクシとしては非常に楽しめ
ました。

 往々にして、サッカーを語り始めた人たちは、ゴールや失点に直結したプレー
について語りがちですが、それ以前のプレーや、それと平行して行われた、
ムダ走りや潰れ役的なプレーも、得点と関連しているんだということで、この
辺りが、「プレーヤー目線」を標榜する著者の面目躍如といったところでしょ
うか…

 でも、この方、「プレーヤー目線」とおっしゃいますが、元プレーヤー達の
ような、読者がわかっていないところをわかっていないということがなくて、
ちゃんとそれを押さえた上で、プレーヤーとしての語りがあるところが、よい
ところだなあ、と思います。

 ちょっと、この方、注目していきたいと思います。