- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/12
- メディア: 単行本
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誤植ではありません。
「処世術」ではなくて、処「生」術なんだそうです。
もともとこの言葉は、フランス人の生活信条"Art de vivre"を意訳したもののようで、
「世」と「生」の違いが、フランス人と日本人の人生観の違いを端的に表している、と
いうことをおっしゃられているようにおもいました。
元々、藤原さんもリクルート社で、バリバリ「処世」されていたわけですが、ハード
ワークの末メニエール病にかかったことと、ヨーロッパに赴任したことで、処「生」の
重要性に目覚められたようです。
その中でも、象徴的な出来事のひとつとして、ヨーロッパに渡るにあたって、ご自身
のそれまでの業績をレジュメの形でまとめる際に、欧米人にヒアリングを受けながらま
とめたようなんですが、徹底的に、「じゃあ、オマエは何ができるんだ?」ということ
を問い詰められて、それまでの実績の無意味さを感じられたようです。
どうしても日本人は、人間の生活の社会的な側面を重視する傾向が強くて、社会との
つながりのハブが会社になってしまうことが多いことから、会社での「処世術」が重視
されてしまうのですが、そのなかで自分をなくしてしまい、『[よのなか]入門』に
あったように、「夢」を捨てた挙句、「組織」に殺されてしまいかねません。
そんな中で、自分を取り戻そう!というのが、「処生術」のようです。
きっと、皆さん自分だからこそ、というものを持っていると思うので、この本を読ん
でそういうものを思い出しましょう。