- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: ワック
- 発売日: 2007/10
- メディア: 新書
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やっぱり、一度読むと中毒っぽくなってしまう日垣さんでして、また次の本を
手に取ってしまいました。
で、また世間で広く「常識」と認識されていることについて、専門家を迎えた
インタビューで「反論」する、と言った主旨の本です。
テーマとして取り上げられているのが、リサイクル、定期健診、血液型、凶悪
犯罪、動物保護、捕鯨、不妊治療、カウンセリングです。
特にショッキングだったのが不妊治療で、不妊治療で、排卵誘発剤を使った際
に、多胎妊娠をすることが多いのですが、5つ子とかになってしまうと出産時に
母体も赤ちゃんも危険を冒してしまうことになるのですが、その際に問題になる
のが、「減胎手術」と言って、一部の胎児を中絶するということです。
現行の学会の方針としては、全員中絶するか、全員産むか、と言う選択を迫ら
れることになり、せっかく苦労して不妊治療をして妊娠をしたのに、赤ちゃんを
諦めてしまうか、命を懸けて出産しようとするか、という当事者にとって非常に
厳しい判断を迫ることになってしまうようです。
じゃあ、なぜ「全員中絶」がよくて、「減胎手術」がダメなのか、確かに「固
体選別」というデリケートな問題はあるのですが、学会は明確な理由を出さずに、
そういう方針を打ち出しているようで、当事者への配慮は蔑ろにされたままです。
そういった調子で、他のトピックについても、日垣さんと同様の意見を持ち、
矛盾と戦う専門家を迎えて、「常識」に激しく噛み付かれるようすが印象的な
本です。