今、話したい「学校」のこと/藤原和博

 サブタイトルにもあるように、中学3年生(から高校生位?)を
対象とした、クリティカル・シンキングに関する本です。

 藤原さんは、全国初の民間出身の公立中学の校長先生だった時に、
「よのなか科」と称して、大人になって見に降りかかるいろんな問題
に対処できるようになるために、こういうクリティカル・シンキング
を教えるためのカリキュラムを、当時の指導要領の枠組みに鑑みて、
試行錯誤して取り入れられていたようです。

 この本も、「よのなか科」の教科書として、この本が書かれた2013
年時点での指導要領の枠組みの中で、活用するための方策を、現場の
先生向けに、巻末で解説されています。

 学校教育では、長らく「正解主義」に基づいて、与えられた問題に
「正解」するという「情報処理力」を伸ばすことに主眼を置いてきた
ようですが、社会に出てからは、必ずしもと言うか、ほとんどの事象
において、明快な「正解」はなくて、目の前の問題に試行錯誤しなが
ら、解決へと導く、「修正主義」的な対処がふさわしい、と藤原さん
はおっしゃっています。

 そのために必要なのが、所与の状況から、どうすれば目標とする
状態に持って行けるか、という「情報編集力」で、その前提となるの
が、健全な批判的姿勢である、「クリティカル・シンキング(複眼思
考)」だということです。

 この本では、学校で起こることを中心として、15歳の生活で身近な
事象に対して、課題を与え、考えるためのヒントを与えられています。

 とはいいながら、結構オトナでも即答は難しいですよ…