- 作者: 藤原 正彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/04/19
- メディア: 新書
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8年位前に出版されてベストセラーになった、『国家の品格 (新潮新書)』の
続編と言うべき本なんでしょうか…
正直、この本の言いたいことと言うのは、全体で250ページほど
あるうちの、最後の15ページほどなんだと思うんですが、それを
言うために、延々215ページほどにわたって、アメリカによって
歪められた日本人の「卑屈な史観」を矯正するための「正しい」
史観を江戸後期〜サンフランシスコ講和条約にわたって説明され
ています。
中国や韓国とギクシャクし始めたここ数年、日本人のよさを見
直す論調が台頭していますが、それ以前は、自分の国に誇りを持
てない国民だったのですが、実は、それはアメリカ人に押し付け
られたものだというのが、この本の主張です。
その結果、中国や韓国に対しても不要なまでに謝罪を強要され
平身低頭を強いられた、と書かれています。
この本では、日韓併合の「手続上」の正当性や、南京大虐殺
の根拠のなさというものをあげて、これが日本を、再び欧米の
主要国を脅かす存在にならないように、精神的にダメージを与え
るようにした、というのがこの国の主張です。
5ヶ月くらい前に、『国家の品格』を紹介して、この時期に、
こういう国粋主義的な主張をするのは危険だなあ、という話を
させていただきましたが、この本は、そのまだ先を行く危険さ
があります。
確かに、日本が、固有の「和を尊ぶ」姿勢の重要さを世界中に
訴える、というところは賛成なのですが、中韓との軋轢の中で、
妙に自身の「優位性」ばかりが取り上げられるんじゃないか、と
いうところに危うさを感じます。