リクルートという奇跡/藤原和博

リクルートという奇跡 (文春文庫)

リクルートという奇跡 (文春文庫)

 藤原さんがリクルートを去るに当たって書かれた、藤原さんがリクルート
に入られてから、ダイエーに株を譲渡した後の軋轢の所までを描いておられ
ます。

 リクルートというと、独立独歩な人材を多く輩出する企業として知られて
いますが、藤原さん曰く、人材の確保にハンパじゃなく注力されているから
だということで、創業者の江副さんなんかは、お客さんや銀行とのアポより
も、応募者の面接を優先した位だということです。

 いまや、企画営業なんて言うと、かなりベーシックな営業のスキルになっ
ているのかな、と思いますが、そういう手法を日本企業で最も早く取り入れ
たのがリクルートのようで、現状分析→あるべき姿の整理→そのための方策
の検討という流れで整理された提案っていうのは、当初は相当斬新だった
だろうな、と思います。

 藤原さんが、別の本で、27歳位の頃は、会社に行くのがディズニーランド
に行くこと位楽しかった、とおっしゃっていましたが、確かにこういう知的
興奮を呼び起こすような仕事をされていたら、寧ろディズニーランドに行く
よりも楽しかっただろうなあ、と思わされます。

 あと、リクルート事件ダイエーへの株の譲渡などの「事件」の内側から
の描写もスリリングで、引き込まれました。