スポーツを「視る」技術/二宮清純

スポーツを「視る」技術 (講談社現代新書)

スポーツを「視る」技術 (講談社現代新書)

 スポーツライターの草分けとも言える二宮さんが語る、スポーツを
「視る」上での観点についての本です。

 とは言いながら、そういう技術論的な話ではなくて、インタビュー
等を交えながらフツーに、野球やサッカー、ボクシング等について
書かれているのですが、その「視点」というのが、二宮さんがこの本
でおっしゃりたいことなのかな、と思います。

 元々、スポーツの専業ライターの方々は、アンチテーゼとして、
スポーツ紙の典型的な紋切り型の伝え方があったんじゃないかという
ことを、若き日の沢木耕太郎氏がどこかで書いていた記憶があります。

 もちろん、紋切り型の書き方というのが、締切までの時間や紙面の
限られたスペースの中で、読者とイメージを共有できるように書くと
いう必要性に迫られての技術だと思うのですが、どうしても長く続く
と、手段と目的の取り違えということが起こってしまって、マンネリ
化を招いてしまっているのかもしれません。

 そんな中で、いかに従来の視点と違うところからスポーツを視よう
としたのが、創生期のスポーツライターである二宮さんや山際淳司
さんだったりすると思うのですが、言い方は変なのですが、「近くて
遠い視点」という感じになるんでしょうか…対象を冷静に、でも熱心
に見つめるといった姿勢があるじゃないかと感じました。