記憶力を強くする/池谷裕二

 「記憶力」とありますが、ガチガチにその話に終始するのではなくて、どちら
かというと脳の機能的なトピックに多くのページが割かれていて、その上で、
どうやって脳を「使って」行けば、「記憶力が強く」なるのかを説明されて
います。(ちなみに、「記憶力」に関する記述にフォーカスしているのは、
270ページ弱ある本の最後の2章である186ページ以降だったりします!(笑))

 記憶力にフォーカスした章の冒頭に、「歳をとると物覚えが悪くなる」と言わ
れていることについて、池谷さんは、確かに神経回路の数自体が減るんですが、
シナプスという記憶を司る物質は歳をとるとともに増えていっており、脳の機能
的に裏付けは全くなく、単なる「怠慢」だと切り捨てて居られます…

 エビングハウス忘却曲線を意識した復習の活用や、睡眠を活用した記憶の
定着のさせ方など、脳機能の特性を生かした記憶法のヒントが満載です。

 あと、ちょっとしたコツも色々と書かれていて、ちょっと難解な部分もある
のですが、そういうヒントだけを拾い読みしていても面白くて役に立つ本です。