定跡からビジョンへ/羽生善治、今北純一

定跡からビジョンへ

定跡からビジョンへ

 将棋の羽生名人とグローバルビジネスパーソンとして名高い今北さんの対談
本です。

 世間的な知名度で羽生さんメインの本ということになっていますが、どっち
かというと、羽生さんが今北さんにインタビューしてると思わせられる部分が
多いです。

 今北さんによるとサッカー界に限らず、ビジネスにおいても、ヨーロッパの
方が「個」の強さが目立つようです。

 で、それってどこから来ているのか?ということなんですが、今北さんが
よくおっしゃっているMVP(M:Mission,V:Vision,P:Passion)、特に目指す
べきものであるMissionをちゃんと持っているからのようです。

 翻って日本では、個人は組織の中に埋没する傾向が強いですし、かと言って
組織のMissionが明確に示されているかというと、各企業の経営理念を見ても
そういう状況からは遠いようで、Missionが不明確であれば、そこへ向かう
道筋であるVisionも明確になるはずがありません。

 ということで、残念ながら、日本人は長い目で見たら迷走しているようにし
か見えない、ということになってしまいます。

 じゃあ、どうすればいいのか…せめて個人レベルではちゃんと自分の
Missionを持とうじゃないか!ということになるのでしょうか?

 一番この本で印象だったのは、そういう自分なりにMissionを持てるような
人を育成するために、「教育」と言うのはテクニックを教えるんじゃなくて、
「チャンスがあるんだ」ということを示してあげるためにあるんだ、とおっし
ゃられていることです。

 この本ではないのですが、昨日読んだ岡野さんの本に、「子どもたちが
どれくらい人生のメニューを見ることができるか、それは親の責任なんだよ。」
とおっしゃっていたのを思い出して、ちょっと感慨深かったです。